あの手この手のクリーンエネルギー

August 1, 2001

 初めての地へ旅行するのは仕事であっても何かしら楽しいものである。普段、街中で暮らしているためか、北海道へ来るといつも新鮮な気持ちになるが、此処、北海道西部の日本海に面した留萌(るもい)から稚内に至る海岸地帯は、これまでに一度も訪れたことのない地域であったので、旭川からバスで二時間半の道のりも大して苦にならなかった。

 この海岸沿いにある小さな町、苫前(とままえ)で、日本最大級のウインドファーム(集合型風力発電所)を見学する機会に恵まれた。ヨーロッパや米国のウインドファームに比べれば小さなものだが、それでもロータの直径が50mを超える1,000kWや1,500kWの風車が40基も、牧場でユッタリと回転している風景は壮観である。数年前の沖縄では500kW級が主力であったので、風力発電の普及とともに、着実に大型化が進んでいるようだ。風車の欠点は、多分に主観的ではあるが、騒音(風切り音)と陰と景観である。大型化とともにロータの回転が遅くなり、風切り音はかなり小さくなったようだが、シュッシュッという風切り音は、私には気になる存在である。ただ、牧場に放牧されている牛や馬の方が敏感だろうと思って聞いてみたが、不思議なことに、牛や馬が風切り音を嫌がっている様子はないそうだ。個人差(個体差)が大きいのだろうか。

 さて、風力発電機は大型化が進む一方であるが、ウェアラブル情報機器の電源として、二次電池を凌駕するクリーンで超小型な発電機の開発も進められている。

 最近の燃料電池フィーバーはこの分野にも及んでおり、自動車用として開発が進められているPEFC(固体高分子型燃料電池)などを用いたマイクロ燃料電池の開発が試みられている。マイクロマシン技術を利用して、究極のマイクロ燃料電池を作る研究も始まっているが、10mW程度の出力が期待できるようだ。燃料供給も含めて、どこまで小さくできるかが課題であろう。

 一方で、機械や人が無駄に放出しているエネルギーを有効利用する自動発電機の開発も進められている。すでに、機械エネルギーを利用する発電機(AGS)が腕時計に搭載されている。腕の運動で半円状の錘を回転させ、歯車列でこれを増速して発電機を回すもので、数mWの出力が得られている。最近では、熱エネルギー、正確には温度差を利用する熱電発電機を搭載した腕時計も開発されている。人の体温と外気温とのわずかな温度差を利用するため、出力はまだ10μW程度である。いずれも、ウェアラブル情報機器の電源としては、大幅な出力密度の向上が必要と思われるが、夢のあるクリーンで超小型な発電機の開発には大いに期待したい。

 京都議定書の批准に向けた世の中の動きが捗々(はかばか)しくない。技術の世界では、大小のクリーンエネルギーの開発・導入が着実に進んでおり、頼もしい限りであるが、最も大切なことは無駄なエネルギーを使わないことである。慣れ親しんだライフスタイルを変えることは一朝一夕には難しいが、ながらTVなど、節約できるところは節約することにして、初めての地へ旅行する楽しみは最後まで残しておきたいものだ。

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